三笠産業は、戦後間もない時期から農業に従事する方々に対して、農業資材やノウハウを提供する企業として発展してまいりました。農業支援の一環として、農作物の育成に欠かせない農薬や除草剤などの薬剤の生産を開始したことが、現在の「微粉砕技術」の礎となっております。
機能化学事業部では、この「微粉砕技術」の応用により、リサイクルカートリッジ用トナーの製造や農薬のOEM製造を手掛けるほか、新たな分野への研究開発にも力を注いでいます。

近年の目覚ましい技術発展を受け、素材加工に要求される精度においてもその水準は厳しさを増しています。
そのような背景の中、私たち三笠産業では、30年以上前から微粉砕技術に着目をし、時代の先端をいく精密度と高度な技術を培い、ノウハウの取得に取り組んでまいりました。
長年の研究開発と委託実績により、各種の粉砕機をはじめ、分級機や分析機器を駆使し、ニーズに合った粉砕の条件、使用機械の選定、活用技術を実施することにより、より精度の高い商品をご提供します。

【さまざまなご要望にお応えする機器選定】

原料の形状・融点・ガラス転移点・硬度・分子量等の物理的性質及び求められる製品規格に基づき、永年の経験を生かして、最新の各種機械設備の中から加工に最も適した機器を選定して効率の良い経済的な加工を目指します。

加工
設備
混合
高速流動式混合機、他
混練
小型~大型二軸押出混練機
微粉砕
ジェット式、機械式微粉砕機
分級
機械式及び気流式分級機
球形化
熱風球形化装置

長年の自社製品の開発・生産及び、受託加工により培われた技術を生かして、厳しい工程管理を行い、信頼される品質管理をお約束致します。

受託加工や、様々な製品開発の為にご提供頂きました全ての機密情報・技術等と、受託加工によって新たに開発された新技術・ノウハウ等全ての機密事項は、徹底した機密管理により責任をもってお守り致します。
受託加工は、お客様と私たちの相互信頼によって成り立つ仕事と考えています。

混合・微粉砕・分級などの粉体加工技術を駆使することにより、製品の機能を高めます。この高付加価値製品の新しい用途を開拓することにより、更なる高機能化を進めます。

三笠産業では、長年の開発で培った粉砕技術を基に、未来志向での研究開発にも力を注いでいます。

【放熱フィラー表面処理の取り組みとその手法について】

トナー製造における最終工程において、乾式で細かい粒子径のシリカ、酸化チタン等をトナー表面に添加し、物性制御をしています。表面処理においては、粉末のもつ物性を向上・変化させることが可能であり、モノとモノの界面状態を制御し、接着等に好ましく寄与させることが可能である点に着目しました。とりわけ官能基の制御は重要であり、界面状態を知る手掛かりとなりうると考えています。

一般的によく用いられる表面処理として、シランカップリング剤がありますが、それぞれの物質によっては好ましく処理できないものも存在しています。中でも、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムに代表される放熱フィラーと呼ばれる物質は、その物性が非常に好ましい一方、官能基に乏しいため表面改質がうまくできないというデメリットがあります。

より効率よく樹脂中に分散することで放熱材料として機能を発揮するため、表面処理は必須であることを考慮し、トナー表面処理技術を活用して需要の高い放熱フィラーへの表面処理を行いました。

半導体デバイスにおける放熱は、昨今の高集積化の流れの中で必須となっていますが、現在のパワーデバイス市場では、次世代自動車・エネルギー関連・通信用途において電子機器の熱による暴走・劣化を防止する必要があり、高熱伝導率が求められています。 半導体デバイスからの熱の放熱は、下記模式図のようにヒートシンクとの間に放熱シートを一層挟み込み使用されるケースが一般的です。当該シートは、エポキシ・シリコーン等の樹脂、グリスで構成され、樹脂中に熱伝導フィラー(無機粉末)を入れ込み放熱させる仕組みになっています。

フィラー表面のわずかな水酸基やアミノ基等と、pH調整・変性等を行った前処理剤を添加し、水酸基同士を配向させ均一な表面状態を作成。さらに、前処理剤の末端部と後処理剤が反応し、目的の表面状態とすることが可能になります。

従来技術では低充填率による低熱伝導率であったが特許技術の高充填率で熱伝導が飛躍的に向上(熱伝導シミュレーション)
※真球形、粒度一定でボイドがない場合の理想曲線

本発明では、ハイブリッド材料内のボイド(空隙)が少なくなり、熱伝導パスが形成されやすくなることで、効率的な熱伝導率を実現することが可能になります。樹脂充填性を向上させるだけでなく、表面耐水性を向上させることも可能です。

図はMgO+H2O→Mg(OH)2の反応が進行しやすく未処理ではマグネシウムイオンが発生し電気伝導率が高くなっていますが、弊社処理ではシランカップリング剤より好ましく電気伝導率を低く抑えることが可能になります。

その他特許
特許第7376024号「耐水粉末の製造方法」
特許第7468841号「窒化ホウ素樹脂組成物の製造方法」

【UVC波吸収剤 / 無機酸化物紫外線吸収剤 / 近赤外線遮蔽剤 / 二酸化炭素吸収剤】

コロナ禍を経て、現代の暮らしの中で「殺ウイルス」「殺菌」は非常に重要なコンテンツになりました。
254nmのDNA損傷波長においてその効果を発揮できる機器等が販売され、室内等へ設置、使用をされていますが、波長が短くそのエネルギーが高いことから、室内の壁が黄変するといった問題を抱えています。
UVA(紫外線A波)、UVB(紫外線B波)に対応した紫外線吸収剤と黄変防止は多様にありますが、UVC(紫外線C波)に特化した製品はこれまでになく、弊社ではポリタングステン酸塩において紫外線を吸収し黄変防止効果を提案しています(下記1を参照)。

弊社が研究開発している紫外線吸収剤はタングステン系であり、特別な方法においてα-酸化タングステンを作成することが可能です。さらに該酸化物は450nmを吸収端に持つ紫外線吸収剤であり、研究結果ではUVA、UVB、UVCまたはそれ以下の吸収が可能になっていて、工業用途、化粧品用途での展開が期待できます(下記2を参照)。

また、紫外線吸収剤の製法を変更するだけで六方晶酸化タングステンを作成することができ、該酸化物は近赤外線吸収能力に優れているため、遮熱用塗料等への展開も今後拡大される分野であると考えています(下記3を参照)。

1.特許第7280647号「UV-C吸収剤とその主剤の製造方法及び黄変防止塗料」

特許第7280647号「UV-C吸収剤とその主剤の製造方法及び黄変防止塗料」

2.特許出願中「アモルファス酸化タングステンによる紫外線ブロック剤」

3.特許出願中「近赤外線遮蔽フィラーの製造方法」

【二酸化炭素吸収剤】

既存の二酸化炭素吸収剤はアミン系液体、アミン系固体、アルカリ水溶液などがあり長短所を持っている。下記表はそれぞれの二酸化炭素吸収剤の長短所をまとめたものとなる。

本開発の二酸化炭素吸収剤は、酸化鉄を中心とした安全な物質であり、吸収・放出量はアミン系固体と同等で、有用性の高いものとなる。例えば、二酸化炭素は植物の光合成に必要不可欠なものであり、水や栄養分とともに成長促進のキーとなる。一般的なビニールハウスでの使用量は1本(30kg)/日と言われている。80〜90℃の加熱により、一度吸収した二酸化炭素を放出することができ、循環型システムとして供給することが可能である。

山口県産業技術センター特許の実施許諾契約済み